【ブログ】環境経済・政策学会に参加しました

今年の環境経済・政策学会は、昨年に比べてEV関連の研究発表が多く、

一日目の終わりにはEV関連のシンポジウムもありました。

感想についてつらつら書いていきます。いつもと比べて情報としての価値が低い記事なので、読まない方がいいかもしれません。

EV研究の難しさ・面白さ

自身も発表したり、他の人の発表を聞いたりして、改めて感じるのが EV研究の難しさと面白さでした。

EVを買うかどうか」は、個人の複雑な消費者行動ですが、

EV充電器の普及の「鶏と卵の問題」や政策の効果まで考えると、まさにそれはマクロの社会現象。

そのため、ミクロの現象を研究するのに優れた手法では(質問紙実験 / フィールド実験など)、EV普及の全体像を見れない一方で、

マクロの現象を扱うのに優れた手法も(パネルデータ分析など)、仮定を少し「間違えたり」、因果モデルと分析が対応していなかったりすると、信頼度の低い結果を吐き出すことになります。

もっとも、それはEV研究に限りませんが。

様々な研究手法で分析できてしまうからこそ、研究者には手法の取捨選択が迫られるわけですが、

うまく研究手法を統合できれば、質の高い研究ができる可能性もあり、その点に面白さがあります。

シンポジウム「EV普及推進を考える」

また、環境省・経産省の担当者や自動車メーカー、研究者による産官学のパネルディスカッションがありました。

いろいろ思うところはありますが、批判ではなく、そこで学んだ新しい視点などをいくつか、備忘録的に書きます。

中古車輸出は資源の流出?

日本の車は中古車として海外に輸出されています。

これは一見いいことですが、車に使われる天然資源が海外に輸出と見ることもできます。

しかも、普通の車よりEVの方が海外に流出しやすいというデータもあるそうで、

これをどう防ぐかが資源循環の観点からは重要らしいです。

EVのリサイクルの話は何となく聞いたことがありましたが、海外への流出という話は新鮮でした

V2Hにかけられる期待の大きさ

正直に言えば、自分はV2H(充給電設備)をなめていました。

価格がとても高いので、正直、「誰がこんなのを導入するのか」と思っていました。

EVは充電するだけではただの車ですが(最も充電タイミングは調整できますが)

EVに貯めた電気を供給することで、再生可能エネルギーの過不足をおぎない、電力システムの一角を担う存在となれる、と。

そして、このような議論を環境省はもちろん、自動車メーカーからの登壇者が強調していたのが特に印象的でした

「供給」側の視点を強く持つ経産省の視点

EV普及のことを考える際に「消費者にEVを買ってもらえるのか」という需要の視点でついつい見がちですが、

経産省からの登壇者のプレゼンや質疑応答では、供給の視点も重視しているのが印象的でした。

例えば、国内での蓄電池生産に経産省は補助金をかけていますが、これは自国産業保護的な視点で語られがちです。

しかし、意外にも「国内でバッテリーをもっと作れれば、EVのラインナップが増えて普及するのでは?」という普及政策としての意味を見出していたのがとても印象的でした。

おまけ

今回の学会は関西大学で行われたんですが、ホテルの位置と駅の位置が微妙に悪く、

自分はほとんど電動自転車で移動していました。

やっぱり都会の数キロの一人移動だと、電気自動車(EV)よりも、電車よりも、レンタル電動自転車(これもElectric Vehicle?)が便利ですね笑。

学会では自分も発表を行って、知り合いが増えたり、研究プロジェクトへの参加を依頼されることもあったりしてよかったんですが、

同時にもやもやすることもあり、良くも悪くも後味がしっかり残る学会でした。

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