「EV後進国」から脱出か。オーストラリアのEV政策

画像はAI生成

かつてオーストラリアは、先進国の中では気候変動政策が遅れている国でした。

しかし、最近は、状況が変わりつつあり、普及が進みつつあります。

そんなオーストラリアの最新状況についてまとめました。

「EV後進国」時代のオーストラリア

かつてのオーストラリアでは、電気自動車(EV)政策が連邦政府レベルではほとんど存在しませんでした。

それどころか、先進国なのに2023年5月まで燃費基準がなかったという始末

そんな国、いまやロシアくらいしかありません(先進国の定義によりますが)

そんな状況なので当然メーカーも後ろ向きに。

トヨタ・オーストラリアの幹部が「オーストラリアのような国ではバッテリー電気自動車(BEV)は意味をなさないと発言し、ハイブリッド車の方が適している」と主張したことも。

他の自動車メーカーも、EVなどの環境に優しい車両の供給を他国に優先し、オーストラリア市場への供給が遅れる一因となっていました

とはいえ、各州政府レベルでのEV政策はあり、

ニューサウスウェールズ州(NSW)やオーストラリア首都特別地域(ACT)などは、印紙税免除、登録料の割引、充電インフラの整備などを先行的に実施し、EV市場の開拓をリードしていました。

2. 政権交代とEV政策の本格化

状況が変わったのは2022年の政権交代。

左派政権が成立したことで、気候変動政策全体が前進し、EV政策を本格化させました。

特に、新車効率性基準(NVES)の導入が決定されたことは大きな一歩。

新車の一定走行距離当たりのCO₂排出量の上限を段階的に厳格化する制度です。具体的には、2029年までにCO₂排出量を60%削減し、乗用車の排出量目標を58g/kmに設定しています。

この基準により、自動車メーカーはCO₂排出量の上限を守るため、EVやハイブリッド車の供給を強化するか、罰金を払うか、他のメーカーからクレジットを購入するしかなくなりました。

また、5億豪ドル規模の「ドライビング・ザ・ネイション・ファンド」を設立し、主要高速道路沿いに117基のEV急速充電設備を整備するなど、充電器の整備も本格化

3. 進み始めたEV普及

これらの政策の影響で、EVの普及は急速に進行。EV後進国から脱出しつつあります。

2024年にはEVが新車販売の約9.5%を占め、前年比150%増という成長を記録。

特にACT(首都)では、EVの新車販売比率が25%を超えるなど、州ごとに大きな差はあるものの、全国的なトレンドとしてEVシフトが加速しています。

4. どうする?中国EV

急速な成長を支えているのはテスラと中国勢です。

2023年、中国メーカーの販売台数は前年からほぼ倍増し、市場シェアは9%から16.4%へと急上昇し、韓国メーカーを抜いて第3位の地位を確立しました (それと同程度日本勢のシェアが減少)。

特に、BYD(比亜迪)は2022年にオーストラリア市場に参入し、わずか2カ月でEVメーカーとして販売台数第2位となりました。

最近では、Shark 6という安価なプラグインハイブリッドのピックアップトラックを投入、これが今までEVが浸透しにくかった地方を中心に大人気に。

iMoD Official, CC BY 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by/3.0, via Wikimedia Commons

オーストラリアで中国EVが安く買える背景には、

現在、オーストラリアは中国との貿易戦争がひと段落した状態にあることがあります。

コロナ関連で中国とオーストラリアは関係が悪化し、貿易戦争に発展していたのですが、現在では関係が改善。

結果的に、欧州やアメリカ・カナダが中国製EVに100%の関税をかける中、

2015年に発効した中豪自由貿易協定(ChAFTA)に基づき、関税ゼロで中国から自動車を輸入しています。

5. まとめ

オーストラリアのEV政策は、かつての地方主導の形から連邦政府の本格参入により全国的な取り組みへと進化しました。

今後、政策の継続性や新たな技術革新がEV市場の拡大をさらに後押しするでしょう。

ただし、現在は貿易戦争の都合上、EV普及に有利なフェーズにあることも留意が必要です。

今後が注目ですね。

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