高速道路のEV充電事情、急速改善中!その理由とは
ガソリン車より短いEVの航続距離。
数百キロメートルの遠出をする際には、基本的に途中での充電が必須です。
ここで問題になるのは、サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)で継ぎ足し充電できるか?
通常のガソリン車でも、数百キロ進めばどこかで休憩するはずですから、PA・SAで休憩がてら充電できれば良い訳です。
ただし、快適な高速道路でのEV充電にはいくつかの壁もあります。
一つは、充電器の整備状況の課題
首都圏では現在でも、多くのSA・PAで充電器が設置されていますが、
北海道等の一部地域ではまだまだ充電器の数は少ないのが現状です。
もう一つは, 「充電時間」や「充電渋滞」の問題です
EVへの充電は、通常のガソリン車の給油よりも時間がかかり、
そのため、もしも先に充電している人がいて、充電待ちをする場合には(充電時間は一回30分までのルールが一般的)、かなりの時間を使ってしまうことになりえます。
現在、充電渋滞が起きるケースはまれですが、これからEVが普及していくと、充電渋滞が増える可能性があります。
この問題に国や企業はどう対応していくのでしょうか?
充電器の高出力化
一つの解決策は、充電器の性能を高め、充電が早く終わるようにすることです。
現在、高速道路で主流なのは「30kW~50kW」の出力です。
しかし、最近新設された充電器の大半は 90kW以上の高出力の急速充電器。
つまり、劇的に高出力化(≒高速化)しているのです。
仮にサービスエリアで15分休憩するとしましょう。
その間に、30kWの出力ではリーフ(40kWh)のバッテリーの15%ほどしか充電できませんが、90kWではバッテリーの半分程度が充電できる計算です。
これだけの高出力の急速充電器ならば、充電渋滞に合うリスクも小さくなり、充電のためにSA・PAに滞在する時間も短くなります。
さらに、150kW級の急速充電器も増えていて、高出力の充電器に対して優先的に補助金を投入する国の方針もあるので、今後充電器の高出力化(高速化)はさらに進むでしょう。
ただし、注意点もあります。
90kW、150kWの急速充電器で充電しても、充電するEVが高出力の充電に対応していない限り、カタログ通りの充電はできません。
新しい車や高級車であるほど高出力化に対応できますが、実際にどの程度の速度で充電できるかは、車のカタログの他、体験記事を参考にする必要があります。
充電器の増設
さらに、NEXCO3社は、高速道路における充電器の数を大幅に増やすことを目指しています。
具体的には、2025年末までに1100口と、2022年度の倍近くに増やす計画です。
これが実現できれば、現在充電器が少ないエリアでも充電ができたり、
充電器がある程度あるエリアでもEVの充電渋滞を減らすことができるでしょう。
国も高速道路へのEV充電器設置は優先的に補助金を投入しています。
充電器倍増実現に鍵を握るのは、充電器の「複数口化」。
そもそも、急速充電器の価格は数百万円以上(高性能なら1000万円以上)。国の補助金があるとはいえ、大量に設置するのは大変です。
そこで、急速充電器一基で2台の充電ができる「複数口」のEV充電器が増えています。
この充電器は、複数口で充電する際に充電速度がやや落ちるというデメリットこそありますが、
先客が一人いても充電ができるため、充電渋滞を減らす効果があります。
価格は公開されていませんが、初期費用や維持費用の点で2基設置するよりは割安だと思われます(二基設置に比べて、維持費の多くを占める電気代の基本料金を抑えられるのでは、と推測しています)。
高速道路を出て充電?
さらに、高速道路ではない場所で充電をするという選択肢も検討されています。
どういうことかと言えば、EV充電のための一時退出を認めようということです。
EV充電器どころか、次のPA・SAまでの距離が25km以上ある「空白区間」が日本には100個あるとのこと。
高速道路を一時退出して、道の駅などで充電できれば良い訳です。
ただし、ETC決済の関係から実現には課題もあり(ETC 2.0を活用する前提)、
いつどのように実現されるかはやや不透明です。個人的にはEV充電以外でも一時退出を認めれば良いのに、と思っています。
まとめ
EVの利便性に重要な高速道路での充電。
充電器自体の進化なども相まって、充電器の量も質が拡充しつつあります。
これからが注目ですね。
高速道路の充電器整備以外にも国や自治体はEV普及を推進しています。
詳しくは、以下のリンクからご確認ください。